2012年2月18日土曜日

みどりの廃棄物

太陽のエネルギーは私たち人間から見て無限と言える程、大量に降り注いでいて、それをどういう風に最も効率よく利用するかというような視点が土を再生していく上で最も大切な事じゃないかということは以前にも書いてますが、

太陽光パネルを農地に

最大限に有効に使っていく上でいろんな視点や方法があって良いと思うし。まだまだ活用しきれていないので完璧なシステムは存在しないけど、そんな中でも以前からずっと気になり続けていることがあります。


それがこれ。


こういうものがゴミとして捨てられているという現実があります。

袋に入っているのが捨てられる予定だった刈草。後ろにはその素材を袋から出したものが入っています。これだけではなく例えば公園で選定した木の枝、木の葉。道路沿いや高速道路沿いの整備の際の残渣。公共施設などの落ち葉。もちろん家庭でも庭で生えている草を抜いたり、農地でも同じように草を抜いたリ、刈ったり。

そんなことが当然に行われていてそれはゴミとして処分されていることが多いです。

これは「太陽のエネルギーを受けて糖、炭水化物、ミネラルやビタミン、様々な酵素など色んな物質を合成したり、吸い上げたりしたもの」を収穫したものと言えるでしょう。

この収穫物をゴミとして捨ててしまっているのが本当に多い。

ここで問題になっていると思うのが、これらの収穫されたものは「産業廃棄物」として処分されているということにあるのではないかと思っています。

例えば農作物でも、サイズや形、色などの規格に通らなければ流通して最終消費されないものは多くありますが、それ以上にこれらは難しい規格があり、ほとんどの場合消費されることなく処分されていきます。

産業廃棄物であるので時には建築廃材であるベニヤ板やコンパネ、様々な化学物質にまみれたものや防腐処理されているようなものも一緒に扱われることもあります。

建築廃材と収穫したものの一緒に処理

なぜかというと同じ産業廃棄物であり、興味のない人からしたら「ただのゴミ」になってしまいます。

最近常々考えていることは有機農業の支援や有機JASの制度などを整える以前にこういったものを本当に食べものを育てる場合に適さない廃棄物を除いて、農地に肥沃さを取り戻して行って土を再生していけるようにすることの方が先行してやるべき課題なのではないかと思います。


オーストラリアに行っていた時もそうですし、それ以外にも他の国のオーガニックに関わる人たちはこういう廃棄物(収穫したもの)をGreen Waste(みどりの廃棄物)と呼んでいます。

産業廃棄物はおそらくIndustrial Waste(インダストリアル ウェスト)と呼ばれてると思いますが、全く別物として分けているということです。

みどりの廃棄物の方にはもちろん食べられなかった野菜の残渣や生ゴミも含まれていることと思いますが、ここを分けておかないと一括してに産業廃棄物として扱ってしまっては分けることは現場でできるはずもなく、することによってなんの利益も生み出しません。

しかしこの2つは明確に分けておかないと行けないと思います。

もちろんその後の処理なども考えなければならない問題は多くあります。例えば高速道路沿いの草を使うのは…。といったことや雑草の種が… もちろん有害物質によって汚染されているものも一部みどりの廃棄物などに混じってくるかもしれないので注意は必要ですが、しっかりした処理(コンポスト化)することでかなりの問題をクリアできるのは日本だけでなく他の国々でのみどりの廃棄物の処理を見れば明らかなことのはずです。


ここで何度も収穫したものと言っているのは、草や木などは太陽のエネルギーを使って様々なものを生産しますがそれらは人間にとっては食べられないものがほとんどなので、私たちにという意味ではなく、食物連鎖の底辺にいる微生物やその他の土の生きものたちへのエネルギー源になるからという意味です。

太陽⇨草⇨有機物⇨生きものたちの連鎖

草や木などはちゃんと自然のプロセスに近い形で処理すれば有害物質や草の種の分解、病原菌の処理などがベーシックな堆肥化プロセスで行えます。

ただ、このベーシックなことすら現実できていないのが日本の現状です。豊かな国でそれらをリサイクルしなくても目立った問題がないように見えますが、確実に土は劣化してきていて、農地だけでなく自然界の様々なところから問題が出てきて、食べものの質の低下など様々な形で人間に帰ってきています。


近頃の自然農法や自然栽培ブームで家畜ふん(厩肥)悪説が多く出ていますが、日本人全員がベジタリアンにでもならない限り、家畜からの排泄物という問題はつきまとってきます。
みんなが自然農法で家畜ふん使わなくなったらそれはどこへ行くのか?ということなども考えていく必要があるのではないでしょうか。 

家畜ふんは積んでいるだけの時、悪臭(主にアンモニア臭)がして近寄りがたいですが、この時の臭いはアンモニアという窒素成分を空気中に揮発させ、大気汚染の元となっていますし、地下水も汚染させていきます。
堆積してある牛ふん


みどりの廃棄物を分けてこれらの出てしまった排泄物の処理する際に合わせて使うことで、これらの養分の流出を止めながら質の高い土の改良ができるコンポストづくりが可能になります。


これらの収穫したものを上手く土へ返せていないのは誰が悪いわけでもなく、この分類に問題があって、これが変わらない限りどうにもならないと思います。

We are what we eat.  私たち人間は食べているものそのものである

という言葉がありますが、食べものが育つのに影響を与えるものとして土という要素はものすごく比重が高い上に唯一人間が手を加えることができるものじゃないかと思います。

それ以外の日光や水や気温などはコントロール出来ないので劣悪な環境で育てるのは難しいですが、どんな場合でも土をどういう風に再生させながら栽培できる環境を築きあげるかということはプラスに働きます。

食べるものは土から

その土を劣化から再生させていくプロセスが有機農業や自然農法、またその他の農に共通しているものですが、その再生には有機JASの整備や補助金を出すといったことでなく、太陽のエネルギーを受けて育って収穫したもの。

そんなみどりの廃棄物を最大限に利用出来るかたちにして産業廃棄物とは区別していくことが何より大切なことではないのかと思います。

みどりの廃棄物特区みたいなのでもできるようになれば。
特区ではなくそれが当然になれば。
そういうふうな動きを起こしていくためにも今自分たちで実例としてそういうものをリサイクルしていく活動が必要ですね。






1 件のコメント:

  1. 猪谷です。

    とてもよい内容なのでシェアさせていただきます。
    よろしくお願いします。

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