2012年6月9日土曜日

良い土の見分け方

乾燥して雨が降らない日々が続くと畑をしている近隣の人からよく聞きます。

「乾燥してコンクリートみたいにカチカチに固まってしまう」

元々水田が多かった兵庫県南西部の土地柄というのもあり粘土の多い土。

粘土、シルト、砂 土の粒子で構成しているものはこの3つが基本でこの組み合わせでどういう質の土であるかを判断します(火山灰などまた違いますが一般的には。)



どれが一番良いか、どれが悪いかという違いではなく、それぞれの特性で育てるものによって合うか合わないかということはありますが、特性を理解すれば良い状態をつくるためにすることは粘土でも砂でもそんな大きな違いはありません。

団粒構造のモデル
上の図でいうと兵庫の南西部は一番右の粒子の細かい粘土が多い土なので簡単に気孔(土のスペース)が埋まってしまって通気性の悪さや、排水・透水性の悪さが目立ってしまいます。

右の図のように良い状態の土は粘土や砂だけの存在ではなく、空気の通るスペースや水が通るスペース(右の図の空間)ができていて、小さな塊が多く集まって団粒構造と言われるものを作ります



この写真が団粒構造の発達した土の写真で、上の図と同じものの実物版です。

団粒構造の発達した土

水田の土としては良い土と言われていますが畑作をする際にはちょっと使いにくい原因になったりもします。

そういう土地で畑をすると農地がカチカチで下の写真のような状態になってしまうことが多くあります。土を触るとものすごく大きな塊でとれて確かにカチカチで硬くて手では壊せない。

雨がふらなくてコンクリートのように固まった土

ちょうどこの写真のような状態に雨が降らない乾燥したときにはなってしまいます。

でもこれが普通の状態なわけではなくて土を良くしていくことでこういうことにならなくなっていきます。
上の団粒構造の写真の状態も乾燥した時の写真で乾いてしまっていますが、団粒のまま固まっていて、手で簡単に壊れます。良い状態を作っていたら気孔(スペース)が残ったままなのでガチガチにはなりません。

コンクリートのようにカチカチの環境が出来てしまうことが多いのですが、これはここはこういうもので仕方がないのではなく、これまでの土の管理が悪かったか、今の管理が悪いか、人為的な影響が実は大きいです。

目に見えにくい土の劣化ですが、周りの農場を見渡すと劣化してるなというところが多くあります。

管理次第で全く違う土の状態になるし、管理しやすさも変われば保水力や植物の生育も変わって来る。
今は出来るかもしれませんがこれが徐々に土の劣化を引き起こしながらである場合も多くあります。




上の写真は何十年もの間(何百、何千年かも)、化学物質を使わずに土を作ってきたところですが、最近少し土が痩せてきたと言いつつもこれだけ乾燥した環境でも良い状態でした。
良い状態で育つと作物の味も美味しい。上の写真の畑もこれからもっと良くなるように取り組んでいくと言っていたので、これからさらに美味しい作物が育つようになるのではないかと楽しみです。

今回は粘土質の土の乾燥した際に硬くなるということを取り上げましたが、それ以外にも土の状態は色々です。

どうやって良い土とそうでない土を見分けるのか教えてほしいと言われることがありますが、絵を全く描いたことがない人が絵の評価をするのが難しかったり、ピアノ全く弾けない人が、ピアノの演奏を聞いて技術的な評価をすることが難しいように土もいろんな所のいろんな環境下(乾燥、過湿、暑さ寒さなどなど)で実際に見て触ってとしてみないとなかなか分かりづらいです。写真や言葉では伝えられないので見分け方の一番のコツは実際に触って見ることだと思います。
実際に見て触ってとすることで違いがだんだん分かるようになっていくんじゃないかと思います。その時にここで書いたようなことも参考にしてみると良いのではないでしょうか。





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