2012年4月19日木曜日

自然をモデルにした土

土の再生ということをテーマに取り組んでますが、一番ベーシックな再生方法は自然と同じ事をすること。ということは多くの人が言ってます。

自然をモデルにすると、「何かを育てる」ということだけをやり続けているわけではなく、「育てたものを分解して土へと返す」ということも同時に行なっています。

自然がやっている育ったものを分解して土へと返すということをモデルにした形で最もベーシックな方法がコンポストです。




少し大きな規模で始めた2010年から今もですが、なかなか伝えることが難しいものです。
堆肥はどのホームセンターでも売ってますし作っている業者は多くあります。

しかし、本当の意味でちゃんとしたものというのがほとんどありません。
兵庫県内でもそうですが、あまりコンポスト作ってやってる人も多くありません。

世界中で行われている有機農業の基本であり最も大切な土を再生させる技術の一つがコンポストです。

驚いたことにオーストラリアにいた時、イベントで農家が60人ほど集まった場所で講師「この中でコンポスト作ってる人?」という質問に手を上げたのはほぼ全員でした。
その場にはオーガニックの生産者だけではなかったにもかかわらず、ほぼ全員が作っていました。

同じ事をここでやると手が上がる数が少ないように思います。

確かに堆肥はホームセンターにも売ってますが、ちゃんとしたものを。と考えるときにやっぱり自分で作らないと手に入らないのが現状です。


自然をモデルにするとホームセンターで売っているものは自然界にはないものが多い。例えば牛ふんや鶏ふん。自然の中にあれだけ牛や鶏が集まって糞を一箇所にする場所はなく、常に移動します。放し飼いの良い飼われ方をしているところは牛が糞をしても毒になることなく、コンポストと同じようなことを広い面積でやっています。


彼らは常に移動して新しい草を食べるので一箇所にとどまることはほとんどありません。なので自然な飼い方となると広い面積が必要でなかなか狭い国土の日本では難しいところでもあるのですが、コンポストづくりは牛がこのように移動しながら食べて排泄してというものをモデルに考える必要があります。(このようなモデルは農耕を始める前の人類と似ています。常に移動して食べものを探すという意味で)


有機農業でベーシックになるべき堆肥はこういう牛が自然の中で行っているのと同じようなことであって、集合肥育で下の写真のように糞だらけのところの糞を使った堆肥ではありません。




ベーシックな技術で難しいわけではありませんが手間がかかるのでやらないというのがよく聞く声です。確かにその辺で堆肥を買うのは楽で安くて早くて簡単ですが、長期的な意味で土の質を変えていくにはちょっと手をかける必要があります。

素材は色々とあって何を使ったらというのは土地によって違いますが、結局私たち人間がすることと言ったら環境を整えるのみで、コンポストを作ってくれるのは粉砕する機械でもなければ、かき混ぜる機械でもなく微生物。

私たちがすることは
1、環境を整える
2、整った環境を維持する
3、使う

この3つだけです。小規模な面積であれば十分に身近な資源を使って作ることが出来ます。

次回
コンポストの作り方につづく


追記:
堆肥と言うと「何の菌を使うか」「どんな施設か」「エアーを送る機械」など決まって聞かれることがありますが、それについて、1900年頃から今の有機農業の基礎を作ったと言われてるアルバート・ハワードが1940年代に書いていることを取り上げます。
彼は長年の研究でちゃんとしたコンポストを使うことで農薬や化学肥料など必要なくなる環境が出来るということを提唱して実践していたのですが、彼のコンポストがうまくいくのを見て数多くの模倣品が売られるようになった今(1940年代)について書いてます。

「大部分が特許を持ち、培養菌や秘法の植物エキス。また秘法的知識に基礎を置くものなどがあり、それによって健康と幸福が促進されると主張している。それらのあるものは糞と魔法との混合というべきものであった。私のコンポストの方法はこの種の主張は一切しない。それは単に全ての林地や森林の土の上層で行われていることを模倣するだけである。それはこれまでに特許など与えられなかったし、これからもそうであろう」
ハワードの有機農業 下 p40 より引用


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