農地にしてもそうだけど、失われていくものはずっと見てても分からないくらいゆっくりの場合がほとんど。
食べものを育てる農地でも同じだけど、なぜか日本では土壌侵食(soil erosion)ということは問題とされていない。
オーストラリアで持続可能な農業(サステイナブルな農業)をやるならまず一番大切なこととして扱われているものだけど、日本ではあまり出てくることはない。それよりはどんな肥料を使うか(使わないか)というような事の方があげられることが多い。
日本のように急斜面の山に囲まれた地形であれば土壌侵食のスピードはもちろん早くなる。
この写真は近くの山の写真ですが、このようなことになっています。土がなくなり根っこがむき出し。今の人がこれをみたら「昔の人はスゴイ所に木を植えたんだな」というと思う。
続いてこれは公園の写真。落ち葉などを毎日のようにきれいに取り去っているので表面の土がむき出し。こちらも測ってみたところおそらく15センチから20センチ程度の土が失われていると思います。
土がなくなったからどうなんだ!と毎日の生活とは関係ないかと思うかもしれませんが、この環境で植物にとってもの凄いストレスで健全に育つことは難しくなります。弱った植物は殺虫剤や殺菌剤で病気や外敵から守ってもらわないと生き長らえることすらできなくなります。
こういった事に頼らないと木が生きていけなくなる。昔からこんなことする必要なく植物は育ってきたのに今、なぜこんなことが必要になるかというと、土の管理があまりにもひどいからです。
食物連鎖の始まりの方に大切なバクテリアや菌などの生物や昆虫などが住みにくい環境になり、生物の多様性は失われますし、生態系も不安定になるでしょう。
弱った木を管理するのにコストはかかるし、手間もかかる。毎日掃除しなければいけないから労働も必要になる。
必要なことなら良いのですが、土を管理する上では不必要な点が多すぎるのは間違いないでしょう。
対称としてここからオーストラリアの植物の管理を写真を使って挙げておきます。
同じことの繰り返しになりますが土壌侵食の管理は重要視されており、当然のように土の保護はされています。こうすることで管理の手間もコストも抑えることができるので実は安上がりで簡単。さらに植物にとっても良い環境になります。
少し見えにくいですが道沿いの植樹されてある木です。木の周りにはかなり分厚く木などのチップがひかれています。
これがそのチップのアップ。こういうことが普通にされています。
こうすることで保水力が上がり、この下には甲虫類などを始めバクテリアや菌、などさまざまな生きものの多様性が生まれます。少しチップを掘ってみるとそれがよく分かります。
水の浸透する力は上がり、徐々に栄養素としてプラスになるものが生きものが分解をしていくことで植物にも供給されます。
雨や風などの土壌侵食の原因となる要素からの保護にもなり、太陽光によって表土が乾燥するリスクも下がります。
もちろん全てが完璧なわけではなく、こういう公園では、水という資源が貴重でありながら芝生を植えているので水を大量に消費するという欠点もあります。
しかし土という視点でみたときにオーストラリアと日本との意識の違いはハッキリしています。
地球温暖化の解決策としての土も以前に書いていますが、あまりに大きくつながる要素が大きいために、なかなか簡単に説明はできませんが、
- 土の保護、
- 水の保護、
- 植生の保護
この3つの保護はただ食べものを育てるというだけでなく、たまにの楽しみで自然に触れるためだけでなく将来のためにしていかなければならないことだと思います。
農地だけでなくそこら中で土の再生をしていかなければならないなと公園や植樹された木を見るたびに感じます。農地に加えてこちらも少しずつ力を入れて出来ればなと思います。
つまず程に(地表にまで)太い根を張り広げる姿を見て樹木の力強さを感じた私が馬鹿でした。 あれは歯槽膿漏の山だったのね! 御免なさい。
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