2011年7月19日火曜日

大きいことは良いことだ

「大きいことは良いことだ」
このアメリカ型のスタイルは農業はもちろん、工業や商業においても適用されて上手く機能してきている。

現在アメリカの大規模な農業で育てているものは先進国の重要な食料源となっている。特にコーンと大豆。この2つは先進国の食料の根幹を支えているとも言えるほど。
確かにどこを見てもコーンや大豆ばかりという栽培の方法は管理は同じ時期に同じことをするだけでいいから簡単だ。そんなアメリカの大規模な農家は大体機械を操っているだけで、降りて土を触ったりすることはない。大規模トラクターで耕し、大規模な播種機で種をまき、農薬・除草剤なんかは大規模だと飛行機などを使う。収穫はコンバイン。触る必要がないわけです。

このアメリカ型モノカルチャーは確かに今の食生活の根本になくてはならないものかもしれないが、おかしなところも多い。例えば遺伝子組み換え(GMO)を抜きにしてコーンを育てて良い時で全部を売ってもまだ収益がマイナスにしかならない場合が多い。これを支えているのが政府からの補助金。

この補助金に支えられているおかげでアメリカのコーンはコーンを主食としてきた低所得のメキシコの農家が育てるより安く育てることができるようになっている。

100億の人口を支えるためにはGMOが必須?
世界人口が爆発的に増え100億人にまで膨れ上がることが予想されており、遺伝子組換えという大きな一つの手段で100億人にまで膨れ上がった人口を支えようとしているのがこのアメリカ型モノカルチャーの大規模栽培システム。

実際遺伝子組み換え作物で業界シェアNo1のモンサント社のCEOは私たちは遺伝子組換えなどの技術を使って作物の収穫量を今の2倍にして、人口の増加の問題を解決すると言っています。参考に下、モンサントCEOの話↓


ただ大きいことは良いことだというのは確かに収穫量だけ比べると良いことかもしれない。すごく多くの食べものをつくることに成功している。下の写真は第二次世界大戦前と現在との比較ですが、1人の農家がカロリーベースでどれだけの人々を養っているかということについて数字で表したものです。

第二次世界大戦前は1人の農家が20人の人々を食べさせていたが
現在は1人の農家が150人。

ものすごい成功を収めているとも言える。

ただ、この150人を食べさせている農家は自分の分の食料を他所から買わないと食べるものがないというジレンマに陥っている場合が多いけども。

ここで言いたいことはこのモノカルチャーが良くないということじゃない。今の時代を支えているのは確かにこのやり方が上手く機能しているから。

ただ、日本はこれを真似できるんだろか? 耕作可能な面積は狭いし、輸入への依存度が高い。遺伝子組み換えの種を導入して修了を上げて食料自給率をあげようとするのはホントにうまく行くんだろうか。

日本は日本で新しい別の道を目指さないと、アメリカと同じことをこの狭い面積の国内でやっても勝てるとは思えない。もちろんコストも高い。メキシコ以上にコストが高いこの国でアメリカと同じ土俵で競争できるとは思えない。

そこで新しい切り口が必要になるはず。

その切り口のキーとなるのは「クオリティ」
狭い面積でも十分に対抗するすべはあるはず。狭いことを活かせば。

次回につづく



広いことは良いことかどうか。確実に言えることではないという一つの例。コーンをいくら育てても利益を上げるには大きな広い農場が必要になるのとは対照的
ブラジルでは面積が10ヘクタール以下の農場では、生産性が1ヘクタールあたり85ドルであるのに対して、500ヘクタール以上の農場ではわずかに2ドルだ。インドの場合、2ヘクタール以下の農場では1ヘクタール辺り、735ルピーという生産性であるのに対して、14ヘクタール以上の農場ではその2分の1である。
ヴァンダナ・シヴァ

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