2011年2月26日土曜日

土を変えていくということ

この辺りの農家さんはよく土を見てくれと誇らしげに言う人が多くいます。
この写真も同じように比較で見せてくれたのですが、元々は左のような赤土だったものが、彼の管理によって黒に近い色に変化してきているのがわかります。





ただ、色が変わっただけではなく見ても分かる通り、いろんな面で機能性も変わっています。

左側、赤い色が濃い方は水の吸収量は少ないです。
同じ重量の乾燥させた土が吸う水の量は土の構造や生えている植物、土中の有機物(SOM)の量でも変わってきます。

初めて開墾した森の土だと1キロの乾燥した土が保持できる水の量は約200キロ程度だと言われています。

左の手のようなやせた土だと1キロの乾燥した土で保持できる水の量は30キロ以下でしょう。

水だけではなくミネラルなどの保持力も変わってきますし、生きている生き物も全然違います。黒い色は熱を蓄えやすいので春の早い時期から土の色が違うだけで温かさが違ってきます。

土中の有機物量()の含有量も全く違います。同じ粘土質の土がベースですが、左の方を分析すると、2%程度。右の方は5%以上です。腐植。土中生物。微生物など

土中のミネラルバランスを完璧にする以上にここがより大切なポイントです。

ミネラルバランスはもちろん基礎とする土質によって全く変わってきますし、過去にどういうものを育ててどういうものを使っていたかによっても全く変わってきます。

ミネラルバランスは大切ですが、それだけに焦点を当てていると、考え方の幅が狭すぎて、結果が出にくいかもしれません。
今の農業のほとんどが単純化によって成り立っていますが、チッ素/リン/カリの3要素だけで植物がちゃんと育つわけがないので、殺虫剤や殺菌剤が必要になります。

もう少し土の機能性と見方を広くしていくことがこれから必要になってくるでしょう。
化学の面から考えれば化学肥料でも何でも良いじゃないかと言う話になりますが、それだと他の物理的な面と生物的な面の2つがマイナスになっていきます。



良い構造の土の固まりを水の中に入れれば固まりが崩れることなく、ほとんどそのままの形を維持しますが、普通に使われている土の固まりを入れるとすぐに固まりが壊れます。



4つの自然要素として

1、土
2、水
3、空気
4、太陽


の4つのうち、人間が農業をしながら大きく変化を起こしていけるのは土だけでしょう。


土を変えれば水の保持力も変わり、通気性も良くなり。ちゃんと光合成して糖などをつくるので作物が甘くなる。

どんな状況に対応するときもベストな対応策は


土のカイゼン
しかないのではないでしょうか。



そして土を変えていくことで、結果として良い作物が育つようになる。

農家の仕事の最も大切な点は土づくり
こういう風に変えていきたいものです。




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