良い健康な生きた土を作ることがオーガニックの本来の目的です。そうすればどんな作物であっても関係なくよく育つ。
有機で。牛糞を使って。化学肥料を使って。バーク堆肥を使って。竹を使って。微生物を使って、や酵素、ミネラルを使って…色んな農業、色んな資材がありますが、
全ての目的な健康な土づくりです。
上の図を見てください。
これがバランスが取れた健康な土づくりにおいて大切な要素です。通常言われていることは全て一つの断片に過ぎないんです。私たちはもっと大きな広い視点が必要なんじゃないでしょうか。
これも一部ですが。これら3要素(バイオロジカル(生物)、フィジカル(物理)、ケミカル(化学))の全てが大切なのであって、そしてそれらの最大の目的は腐植をつくりだすことです。
農業における資材を使う理由はこの3つの要素のどれかに働きかけるからと言えるでしょう。ほとんどの農業に対するアプローチは目的としての土の完成のためではなく、どれか一つの要素を満たすためだけに陥りがちです。もちろんこれもアバウトなもので完璧だとは言えませんが、今までのアプローチよりははるかに良い広い目線を持つことが出来るのではないでしょうか。
フィジカルを変えるのには一般的に耕すということを通じて実現しています。
耕すのもただ、毎年ルーティンで耕しているわけではなく、決まった理由があるから耕します。
不耕起栽培を提唱している方もいらっしゃいます。確かに不耕起での栽培も可能です。しかしフィジカル面の要素が満たされた上での不耕起であれば上手くいきますが、カチカチに踏み固められた地面で不耕起栽培をやろうとすると土中の空気のバランスや水はけなどに影響が出て上手くいかない場合が多いです。
一番危険なことは自分の土を見ずに知らずに、人に言われたことをそのまま信じてしまうということではないかと思います。自分の土の現状を知って、どういう風に変えていけば良いかその方法を考えることが大切。
「自分の畑や田んぼの土において、何が最も必要か?」
そういう視点で自分で考えてやる。それ位、頭を使ってクリエイティブにやるのが本当のプロではないでしょうか? 奇跡のリンゴの木村さんも成功させた理由にはそういう視点があったからというのが大きいですよね。
次に、人が家畜糞の堆肥を使う場合について考えてみます。
有機農業をしている人に多く会っている中で信じられないのと危険だなと思うときが良くあります。それが牛糞や鶏糞などの家畜糞を大量に撒くということをしていることです。家畜糞が全て危険だとはいいません。 しかし今の大半の家畜飼育の現場を見て、話を聞いて、食べているものを見て驚きます。
こういう物を食べてこんな化学物質を摂取していて、胃潰瘍などの病気も大量に発生して、インフルエンザにまでかかる。自然の生き物の姿ではなく今の人間と同じようになってきています。本来の食べ物を与えておけばもっともっと元気に生きていますが、そういった家畜から出る糞は基本的に海外の有機認定基準をクリア出来ません。
日本の有機JASは家畜糞問題を解決するために生まれたと言われていますがそういうった低クオリティのものが溢れていて、さらに未発酵のものばかり。本当にいい家畜糞を探さない限り使用は避けたいです。
確かに肥料分はあります。NPK(窒素・リン酸・カリウム)の化学肥料と同じ栄養素が成分として書かれています
下の写真を見てください。
窒素・リン酸・カリウムという一般的に肥料分と呼ばれているものがどれだけ含まれているか書かれています。確かにこれを入れれば化学肥料と同じようにある程度効果があるかもしれません。
これを使えば確かにNPK(窒素・リン酸・カリ)の成分はあるので効果があるかもしれません。それに家畜糞は様々な微生物・バクテリアが多く含まれ、確かに堆肥作りに混ぜると発酵が早くなります(もちろん窒素分を含んでいるからと言う理由もありますが)
一般的に家畜糞は施肥してから効果が出るまでの間にかなりの時間差が生じると言われています。それはなぜか。土や作物は生のものから栄養を取ることができないからです。
生ゴミも堆肥になると言われていますがそれを生のまま土に入れたらどうなるでしょう? 蛆虫など大きな虫が大量にわいたり、シマミミズなどが大量にわいてそれらを分解し始めます。
それらの生き物が分解したもの。完全に分解された後のものが肥料としての効果を発揮し始めるから家畜糞は効果が遅れると言われています。
通常、栄養素(チッ素)はたんぱく質→アミノ酸→アンモニア→硝酸
といった順で分解されていきます。人間の体もたんぱく質をとったらいいと言われていますが結局は体の中でアミノ酸にまで分解しているのでそれが効果があるということです。
そしてもちろん虫が大量にわいてきます。pHがそれだけ低いということは作物が上手く育たなくて枯れたり、弱ったりします。
その上、大量に施肥した場合、窒素濃度過多の状態になりよく言われている硝酸態窒素濃度が高まります。硝酸態窒素が体に大量に取り込まれると体の中で亜硝酸に変わり、体の中で様々な悪影響を及ぼします。
アリストテレスはこう言っています。
「土壌は植物にとって胃であり、腸である。」
アリストテレス
この通りなのです。
生の家畜糞などは、例えば私たち人間が肉を飲み込むようなものです。私たち人間も食べ物を飲み込んで消化するのではありません。まず咀嚼して小さくし、それを胃や腸へ運んでさらに細かく栄養素として分解していきます。
しっかり養分を植物にとって吸収できる形にしたものこそ。本当にいい植物が育つようになる状態です。
それと、生の有機物(例えばペットの糞、生ゴミなど)を外に置いたらどうなるか。それはすぐに分かるでしょう。そこは虫たちをひきつけ、卵を産む場所となる。
腐敗することでうまれるガスは自然界で典型的な誘引物質なのです
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