2010年2月26日金曜日

海外と日本・オーガニック農家の違い


先週末の20日、21日に神戸で地域が支える食と農(Kobe Conference 2010)がありました。
CSAがメインのトピックのイベント



そこの会場には全国からの日本人参加者に加えアメリカ、フランス、モロッコ、オーストリア、インドなど世界各国から40名程の参加者が集まり話を聞いたり、パーティーなどでの交流や話し合いがあったりと、良いイベントになりました。
合計1000人位のイベントだったのではないでしょうか。

今回は通訳や翻訳関係など事務局側のサポートをメインでしていたためにあまり話は聞けませんでしたがだからこそ出来ることも多くあり、得るものは多いイベントでした。


あまり話を会場で聞けませんでしたが、個人的にものすごく面白かったのは分科会という形で別れてそれぞれのテーマ別れて様々な事例などを話す所の種の話でした。

中でも、自家採種を3年続けた種、1年目の種(前年度に採種したもの)、買って来た種。この3種の種を同時に栽培して比較した自然農法国際センターの方の話と写真はすごく良かったですね。こういったデータが実際に目で見てわかれば種が大切だということと作物をよくしていくためには種が必須であることが伝わりやすいのではないかと思います。


さて、タイトルの海外の有機農業と日本の有機農業の違い。今回参加してパーティーの時にいろんな国の方々と話をしてみて感じたことは、一つ。常識の違いです。これは以前からずっと感じ続けていることですが、全く常識が違います。
いつも海外のオーガニック農業をされている方と話をするときに聞くことは同じで、「何があなたの農業において最も大切な事か?」ということを聞いていますが、大体は決まって同じ答え、「健康な土をつくること」というものです。
この答え自体は日本の農家さんも同じですが、その常識が違うため全く違う結果になっているのではないかと思っています。まず、今回聞いた数名の農家さんは誰も害虫で困っているという事は言いませんでした。聞いてみても「海外から来た虫には困ることがある。」ということは言っていますが昔からいるような虫に困っているという農家さんはいませんでした。彼らはみんな日本だと超大規模農園にあたる数十ヘクタール以上の面積の栽培をしています。
そんな広い面積でも困るのは例えばモロッコの方がラテンアメリカから来た虫にブロッコリーがやられる、それだけが困った問題。アメリカの方がカナダの方から今までいなかった虫が来てそれに困っている。その程度の問題しかないと言っていました。本当に健康な土づくりをすればそういった害虫問題はほとんど起こらないし起こったとしたら何か異常な(例えば海外からの害虫など)ことが起こっているということが
分かる程の健康な土づくりを普段からしていて、通常時は虫に困ることはほとんどない
一方の日本はどうでしょうか、この間プロフェッショナル仕事の流儀(NHK)で登場していた、今回のイベントにも来られていた金子美登さんがプロフェッショナルでも言っていましたが
朝早起きして一番にする仕事は手で虫をとること。と言っておられました。この2つにどれだけ大きな差があるか。驚くほどだなと思います。
片方は普通、害虫は来ない。益虫のいない、海外からの虫にたまに困ることがある。もう一方は、害虫が出るのが当然で、手で取らなければならない。何度も書いているかもしれませんが、日本では有機農業をしている=虫が作物を食べる=虫が食べる=美味しい。
これは仕方がないことだということが常識になっています。
しかし海外ではそうではない。本当に良い土を作ると、見た目もきれい、味も良いものに変わっていきます。
万物はその旬にて美しい
ソロモン
例えば今回、スピーカーとして来ていたエリザベス・ヘンダーソンと話たときに彼女が言っていたのは、私たちがしていることにそんな特別なことは有りません。私の土づくりの根幹にあるのはコンポスト(堆肥)とカバークロップの2つです。と言っていました。
そのコンポスト(堆肥)づくりは何か特別なことをしているか? どんな材料を使ってどういう風に作っているか。
それを聞いたときに彼女が言ったことは一言。それを知りたかったらアルバート・ハワードの本を読めば全て書いてあるわよ。
ということでした。

ハワードの本は日本でも出版されており知名度はあります。しかし何故かそこにある堆肥づくりをしている人は数えることが出来るほど少ないのではないかと思います。ハワードは1940年に書いた本ですでに虫に困ることがない堆肥づくりを説いています。特に難しいこともなくとてもシンプルなことなのになぜ広がっていないのか不思議ですね。
シンプルながら大切なコンポスト。


海外では何十ヘクタール、何百ヘクタールという面積でもオーガニック栽培が可能です。(やり方や質はバラバラですが)

日本で出来ない理由はありません。
僕が行っていたオーストラリアより日本の方が遥かに環境が良いです。出来ないはずがない。
だからこそそういった農業が広がっていくようにしていかなければならないですね。頑張って変えていかなければならないですね。

今住んでいる播磨。ここの農業を土から良いものに変えていきます

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