2010年2月9日火曜日

基礎としての土づくり

宍粟市の有機農家さんの土壌改良と土づくりのための基礎の堆肥づくりをやってきました

堆肥づくりなんてなんでするのか分からん
するのが面倒だから同じようなものを買えば良い


とかよく言われますが、その土地で育った有機物を土に返すということは必要になるので、自分で作るような仕組みにしくのは絶対に必要です。近くで刈った草。集めた落ち葉、くだいた木などそれを土に返せるのは土を基礎においた農に関わる人しかいないでしょう。


よく言われるのが牛糞でも鶏糞でも生のを入れても半年もしたら土みたいになってる。これも確かに間違いではないとは思います。硝酸塩が多すぎ、嫌気状態になるのでpHも下がり、何一ついいことはないでしょう。全くの痩せ土で一年休耕するなら量によっては入れてもOKだとは思いますが,その土に応じて考える必要がありますが、本当に良い土にしていくためにはしっかり考えて有機物量を増やしていくのが大切になってきます。


この方法が自然農で無肥料も同じことです。理想的な土をつくりあげるための「方法」は何でもいいんです。
自然が土を作っていくのと同じプロセスを数倍から数百倍のスピードで面積を絞ってやっていくのが人が関わって食べ物を育てていくということなのではないでしょうか。



●堆肥化することで牛が食べて排泄してそのままできてきた雑草の種子や病原菌などを殺すこともできます。
●植物が吸い上げやすい形に栄養素を変えてくれます。
●根を痛めません。
●pHの改良できます
●土質の改良もできます(CEC,pH,EC,構造など)
●土壌の団粒構造を作り上げます。
●様々な微生物や菌、バクテリアのバランスが整います。
●病害虫にやられにくくなります。
●臭いもなく扱いやすくなります。
●栄養素のバランスも整います。
●ちゃんと堆肥化することで家畜糞にはない栄養素もプラス!


特に面積が広くなればなるほど作らなければならないとそう思います。

堆肥づくりは今日やって明日出来るようなものではないので、一種の投資のようなモノだと思っています。

それも絶対にものすごく良いリターンがあると分かっている投資。オガクズなどや木のチップなどを使うと一般的には3年はリグニンを分解して完熟の状態になるまでかかると言われていますが、最長で3年程度です。

草と家畜糞だけの基本的な作り方で2ヶ月から6ヶ月程で出来上がります。



半年から3年で結果がでるという投資ですね。この投資を積み重ねていくとものすごい貯金という名の土が出来上がる。長期的な視点になりますが、しなければ何時まで経っても良いものが出来上がらないですね。

今回の農家さんのところは、スゴクいい鶏糞を使っていると言っていました。




大量に置いてある鶏糞を見せてくれましたが、ものすごく未熟な状態で、それも雨続きだったために、ベチョベチョに水分を含んでさらに臭いもきついものでした。ただ放置していただけだったのでしょう。




鶏糞自体は広島まですごく良いものをとりにいったそうなのですが、とにかくこれをこのまま使うよりよりよいものを育てていくために地元の有機物を使ってさらに良いものにしていく

堆肥づくりで絶対に気を付けてもらいたいポイントで。

未熟状態の臭いものは“絶対に“土に入れない。
ということですね。

今回は素材としてあったものを使いました。


1、2年位積んであった木のチップ 約50%
2、放ったらかしの刈草などが完熟したもの 約20%
3、カレー粉 約1%
4、刈りたての雑草 約4%
5、こだわりの鶏糞 約10%
6、落ち葉など 約10%


この6種類を大体こんな割合で使いました。木のチップはかなりボロボロになってきていたのですがまだまだ分解しきっていなく、鶏ふんも大量にあったので、それをメインに使うことにしました。

ちゃんと切り返しをしながら10ヶ月程度をめどに使える状態にしていくという感じですね。






今回は重機があったので結構楽に出来ました。ただ、スペースが狭く、何度も出したり入れたりするのに時間がかかってしまって、そこは問題でしたね。少ない量でしたが時間は大体2時間程で出来ました。


まず最初に完熟堆肥をひいて、その上に木のチップ。それから鶏糞。完熟堆肥。いう順番でレイヤーにしていきました。


それを繰り返すこと3回ほど。高さが1メートル80センチ位積んでひとまず完成。それほど多くの量ではなくとりあえずという形で作りました。後は微生物にお任せ。3回程切り返しを重機でしてもらおうと思います。雑草の種子が死なない低温長期型の堆肥づくりですが、今回のメインの目的は鶏糞をそのまま使えない形にすることだったのでそれでOK。

多少は雑草の種子が混じっていてもOKでしょう。

堆肥づくり自体は全然難しいこともなく放ったらかしでも、長年かければ出来るので難しく考えることはないと思います。人間が出来るコトは積み重ねて切り返しで酸素をあげること位。後は自然の力、微生物の力で、森や山の落ち葉の下の土のようなすごく懐かしい香りになって出来上がります。



人間も植物も,地球上のすべての生物はそれ自体を構成している主な成分は空気と同じ、炭素、酸素、水素の化合物,すなわち炭水化物である。さらに命の源はタンパク質,タンパク質のもとはアミノ酸,アミノ酸のもとは窒素で,空気の78%は窒素である。人間も植物もその大部分は,空気と同じこの四元素から成り立っており、それにごくわずかにカリウム、カルシウム、マグネシウム,鉄、硫黄,などで構成されている。
開発などによって伐採した樹木や,刈り取った野草などは全て、新しい緑の環境を作る地球資源である。有機物は一度焼却したら、消えてしまい、まだ人間の科学技術では難しいため、ドイツの各州では条例等によって有機物を焼却するのを禁じている。事実生きている緑の植物が,太陽の光エネルギーを受け、光合成によって時間をかけてつくる以外には十分に有機物をつくる手段はない。このかけがえの無い地球資源の有機物が産業廃棄物として簡単に焼却されている日本の現状は,我々、生態学者の努力も足りないが、日本の行政や法律づくりの無知を世界に晒していると言える
横浜国立大学名誉教授 宮脇昭氏

それを土に入れてあげる。これはオーガニックで育てる場合の基本であり、最も大切なところですね。


なぜ、日本ではこの基本を誰もやらないのか不思議なところ。

しっかり完熟堆肥をつくってそれを畑に返していけるような農業を定着させていきたいものです。何よりもの基本。
畑でできた草を刈って燃やすということはやめてもらいたいですね。最低でも灰は使ってください。




いろんな方法がありますが、世界的標準を飛び越えて新しいものより標準プラスαがベストじゃないかと思います。


また、この場所では土地を整理してもっと広くつくれるようにしたいですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿