草は抜かなくてもいい。こういう事を日本で言うと非常識
通常、日本では草が全くない土がむき出しになっているような畑を見て
「あ~きれいにしてますね。」そういうことを近所の人に言われたりします。
雑草というと、ほとんど全ての農家さんにとっては敵。そう言っても間違いではないでしょうね。しかしこの雑草。本当に全て抜いてしまった方がいいのでしょうか? もしこれを抜かなくてもいいのであるとしたら、大規模な農家さんでも、小規模の家庭菜園をされている方でもものすごく手間が削減できるのではないでしょうか?
しかし,これを変えようとすると意識を変えなければならないので難しい面もあるでしょう。一般的には日本では草は抜かなければならない。それが常識となっています。
草を抜かなければ、雑草に作物が吸収するべき栄養素をも取られてしまい、作物がちゃんと育たない。確かにこういう場合はあります。
米栽培をしていて,ヒエを抜かなければ、収量が反当、3俵,4俵(180キロから240キロ程度、通常は7俵=420キロ程度)に下がってしまう場合もあります。
草を抜かなくてもいい。それはただ、放ったらかしにして、何も畑や田圃をさわらなくてもいいと言うのとは意味が違います。
放ったらかしにしたり、背の高い草が茂っているところに、野菜の種を撒いてもまず上手く育ちません。
しかし,ちゃんと管理された状態で草をはやしておくことはメリットが多く、デメリットはほとんどない。言ってもいいのではないでしょうか?
草抜きをする時間は短縮出来ます。草について考える必要もなくなります。土が肥え、微生物たちにもいい環境になります。なにより自然な環境に近い状態を維持出来ます。
ここで写真を。これはオーストラリアに行ったときのあるファームでの写真です。この写真はアスパラガスです。
見ての通り、周りは草だらけです。しかし、生えている草は背の低い草ばかりです。ここではあえて、草の種を撒いてはやしています。
オーストラリアはオーガニックの種を売っているところで、その地域,環境に合わせた、ネイティブ(原生)の雑草の種やそういうった種をミックスしたものも扱っています。そういう種を農場にあえて撒いている。こんなことを日本でしてると常識で言うと抜く手間を増やしてるだけですよね。
この写真はマメ科の作物でピントー・ピーナッツという名前
背が低く、見た目にもきれいな草。
マメ科の作物を植えると、根粒菌によって、窒素固定などの良い点があるというのは日本でだけではなく、世界共通のようです。奇跡のリンゴの木村さんは作物の隣に必ず大豆を植えると言っていますが,それと同じことを海外でも当然のようにやっていたことに驚きました。
日本では異端的扱いですが、それが当然。常識が正しいのか,非常識が正しいのか。結果がわかるのはずいぶん後になるというのはどの世界でも共通かもしれませんね。
草を抜くことがどういう問題を引き起こすか。それについて少し触れておきたいと思います。草も何もはえていない畑、今の季節だったら結構見かけることも多いのではないでしょうか?全て収穫してしまって、トラクターなどで耕した畑そういう畑を見て考えてみたいと思います。
耕したばかりの時、そしてその翌日、そのまた翌日。見比べていたらわかることがあります。それは表面が乾いて色が変色していく。そういう変化を見ることができると思います。表面に何もない状態だとすごく乾きやすいですね。
何か置いてあるか,何もないか。それだけでどれほどの変化があるかは,大体誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?
例えば外に置いているプランターなどの下。土の上に置いていてもそれをどけるとしっとりしている。落ち葉が堆積しているところの下をのぞいてみても同じようにしっとりしているでしょう。それと同じことがこの上の写真でも言えます。このように植物がはえて土をカバーしているとそれだけ太陽に直接照らされることがなく、表面の温度が変わります。だから、水分が蒸発しにくくなる。
もちろんカラカラに乾いた土では土壌に1~5%程度いると言われている微生物も生きて行くのには難しい環境になります。草が生えているということは、微生物のエサになる有機物も豊富になるという効果もあります。根っこが地面を耕して、酸素が土を柔らかくし、酸素を供給してくれる効果もあります。また背の低い草をはやしておくことで、その他の雑草が伸びてくるのを抑制することが出来ます。緑肥としてすき込んだら栄養もプラス。マメ科などであれば根粒菌効果もありますね。
マルチとして、黒いビニールを使っても同じような効果になるものもありますが、一番いいのは植物と共生させることではないでしょうか? 枯れ草、わらをマルチとして使うのはビニールなどの化学物質よりは良い結果をもたらしますね。
草を草でコントロール(ウィード・コントロール)する。こういった技術をもっと取り入れていくことでもっと時間を有効に使いながら土のそして微生物の住む環境を最高のものにして行くことが出来ます。こういったものをグラウンドカバーと言っていますが、このような技術を当然のものとして植える草まで考えることでオーガニック農業がまた進化して行くのではないでしょうか?
今、雑草は邪魔者扱いをされ、除草剤を撒いたり、トラクターなどで耕したり、草刈機で刈り取ったり、邪魔でしかないものだ。そう思われていますが、自然がはやしてきているその植物には全て理由があって生えてきているわけです。人間が不自然なことで雑草と戦おうとするから、手間がかかります。自然を見て自然を考えてコントロールすれば,良い結果ばかり受け取れるのではないでしょうか?
オーストラリアにいってたときの農家さんがいつもそう言っていました。くっついて邪魔になる草であっても,理由があって生えてきてるし、それがまた土への栄養として循環しているから、彼らもすごく大切な存在だ。そういうふうに雑草と付き合っていく農業を考えるのが一番ですね。
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