日本とオーストラリアの有機農業の一番大きな違いはコンポスト作りを【ちゃんと】しているかしていないかという違いが一番大きいのではないかなと感じます。
そもそも最近気がついたのですが、日本で堆肥という言葉がちゃんと理解されていないような気がします。
堆肥とは藁(わら)・ごみ・落ち葉・排泄物などを積み重ね、自然に発酵・腐熟させて作った肥料。つみごえ広辞苑より
でも、例えば、ある自然農法をされているグループでは堆肥とは雑草のことを指します。またある有機農業をされている方にとっては堆肥とは牛糞や鶏糞のことを指します。そして9割以上。もっとかもしれませんが日本の有機農業をされている方のほとんどがこの堆肥の最も大切な部分である【発酵・腐熟】の部分が抜け落ちているように思います。
オーストラリアで僕が行った農家の方のところは100パーセントのところが堆肥づくりをしていました。それもちゃんと堆肥づくりに大切だと言われている炭素と窒素のバランスを考えて、おがくず、雑草、作物の残渣、生ゴミなど、海草、バーク、木灰、牛糞・鶏糞・馬糞などそういったものを交互に積み重ねて堆肥を作っていました。やり方としては1920年代頃にアルバート・ハワード卿がインドにて確立した方法、インドール方式という堆肥のつくり方がベースになっていました。
こんな場所で堆肥づくりを始めました。これが最初の状態の写真。この形はウインドロウと呼ばれている縦長コンポストです。色んなモノを交互に積み重ねていく方法です。
使っている素材はここのファーマーオリジナルです。2人のファームで共同で使うコンポスト
当然こんなものを作るのに機械がなければ何人もの人が必要になります。堆肥はバクテリアや菌に酸素を与えるためや全体を腐熟させるために何度か切り返しをしますが、その際も機械がなければ厳しいです。
それで出来上がったコンポストはこんな感じです。
日本ではこうやってコンポストを大規模に作っている人をほとんど全くと言っていいほど見ません。もちろん知らないだけかもしれませんが、ほとんど発酵すらしていない牛糞や鶏糞をそのまま施肥したりしています。
確かに土地が狭い、時間がかかる。などいろんな面で時間がかかることもあるとは思うのですが、土作りをするのが農業をする上で最も大切なことだと思います。それをやらずに手を抜いて一体何に時間をかけるのでしょう?
本当に良い完熟堆肥を作ってそれを施肥すれば害虫問題はなくなります。もちろん病気も減って作物も健康で本当にいいものが育つし、長持ちするものができるようになります。それに牛糞などをそのまま施肥した時にその中に混じっている雑草の種が発芽してみたことがない海外から来た雑草が繁殖することもなくなります。雑草の種は完熟していく過程で完全に高温で死んでしまいます。
言い方は悪いかもしれませんが土作りをサボってるから害虫問題でずっとキャベツとかについた青虫を一つひとつ取らないといけないというすごく面倒な仕事をしなきゃならなくなって出荷できる作物が育たないんだということはこれは間違いありません。
畑や田んぼはあまりまくっているんだからそこで共同で堆肥づくりを共同でして共同で使えばいいのじゃないかと思うのですが、なかなか、堆肥を作るという発想はないみたいですね。
やっぱり堆肥という言葉がまだ浸透してないからいけないのか。そう思うので、堆肥というよりコンポストといったほうがいいのかも知れませんね。
意味は同じですが、コンポスト=完熟させるために作る堆肥。 そういう風に定着させることができればいいのになと思っています。
それとコンポスト作りに大切なポイントは炭素と窒素のバランスと多くの素材を入れることです。
炭素と窒素のバランスは25~30対1くらいで細かい点はコンポスト作りをする人によって違ってくるのでどれがいいのかは自分で考えるか、もしくはやっている人に聞いてみるのが一番。
素材を多く入れるのは、コンポストを施肥した時の栄養素のことを考えてです。
うちの庭でのコンポスト。それだけ狭いところであっても可能です。場所を割いてリサイクル素材で簡単な枠を作って素材を集めてきて積み重ねて何度か混ぜます。
そんなコンポストの山を2つ作っています。下の写真は少し前のものです。今はこの後から2回切り返しました。
ちなみに、このコンポストはいろんな種類の雑草。バーク堆肥、近くの抗生物質や薬、ホルモン剤を使っていない牛の糞を一輪車一台。作物の残渣などなど色々と混ぜています。それと海草を入れたいので海にとりに行きたいなと考えてます。
できあがったものは土の香りがします。
まあ普通にやってたら時間がかかりますね。
日本でも本当に最高の作物を目指して色んなことを試して、コンポストを自分達で作るような人が増えればいいなというか、これからそういう人たちを増やしていきます。
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