2009年11月26日木曜日

市販の堆肥の現状


色んな有機農業をされている農家さんを回っていて一番多いと思うのが鶏糞や牛糞を使っている方。
市販の発酵鶏糞などを買ってきて畑にすきこんでいる所が家庭菜園でも多いし、営農をしている方は鶏舎から直接鶏糞をトラックで積んできて漉き込んだりしている。


信じられない位安い鶏ふんと牛ふん


未だに慣行の畜産、牛糞や鶏糞を使って有機栽培というところが多いといったら驚かれた。コンポストの原材料として使うという事はあっても大量に家畜ふんのみで栽培という国も珍しいのではないか。(家畜を一家に一頭飼ってるところでも敷きわらなどが混じっているので)


そもそも日本にある家畜糞が良いかどうかそれがまず怪しい。アメリカなどから輸入された飼料(もちろん遺伝子組換えのコーン大豆主体の飼料)で育てられ、動けないストレス一杯の家畜達、ホルモン剤や抗生物質などを大量に投与されていて、抗生物質にいたっては病院で人間に使われている量の9倍の900トンを家畜に使われている。
もちろん糞にもその影響は出るし、糞などにいる微生物にも影響を与える。
ここで何故家畜糞をそのまま使うことが良くないのかを「有機農法」J.I・ロデイルから引用します。
厩肥類は生では決して使ってはならない。給費を毎日牛小屋から直接畑に入れるように進めている政府の勧告はたいへんに残念なことである。厩肥の中の価値の大部分を保存するにはなるべく早く植物性物質と一緒に堆積することである。
厩肥類は作物が生育する7~8ヶ月前までに施されて、分解する機会が与えられた場合以外は緊急の時をのぞいては、決して生のまま肥料としては使ってはならない。それには多くの理由がある。
第一の理由は生の緑肥作物をすき込んだときと同じである。細菌や菌類は多くの生の材料を分解しなければならないので、エネルギーを蓄えるために土壌中の有効窒素やその他の養分を分解する。したがって新しい作物に使われるはずの養分が不足する。このような場合には期待に反する結果が生まれ、翌年になってからこれらの微生物の豊富な死体が利用されるようになって初めて効果が現われるのである。
第二の理由は厩肥類の中の雑草の種子は堆積されないと殺すことができないということである。多くの農民は生の厩肥を施すことで害虫の卵や胞子と共に雑草をも栽培しているのである。新鮮な厩肥類をほかから持ってきた場合には新しい種類の雑草や病原菌が農場に導入されるかもしれない。
第三の理由は生の厩肥と共に病原菌が土壌に入って、それがために牛がバング病または他の病気にかかるからである。k路えらの危険な微生物はコンポスト(堆肥)製造過程での高温で殺されるのである。これらの菌に犯されている厩肥は生のままで使うと危険であるが、注意して堆肥にすれば肥料として絶対に安全なものとなる
第四の理由は、植物が生の厩肥類からなかば腐ったタンパク質、その他の危険物を吸収するために、その植物及び人間の健康が脅かされるからである。
J.I.ロデイル 「有機農法」p116より引用
この間、某大きな団体の堆肥センターを見に行くと完熟牛糞堆肥と書いてありましたが、これがまたクサイ…
材料牛糞9割、籾殻少々… においを飛ばして3ヶ月で熟成。
それと同時に日本の家畜の多くは狭いところで閉じ込められて海外から来た質の低い配合飼料で育てられています。もちろん、農薬・化学肥料、除草剤、GMOたっぷりの栽培でしょう。運動もせず脂肪分が大好きな日本人向けの太った家畜ばかり。不健康な家畜の糞はもちろんいいものとは言い難いですね。
日本で本当にいい家畜糞を見つけるのは結構難しいことだろうと思います。
牛糞、鶏糞。それら家畜糞ノ使い方を考えなければならない時代です。土壌を汚染して、作物も汚染されていきます。
ロデイルのこの本は1945年に出版されたもの。それ以上前から当然とされている常識が日本では未だに伝わっていないのが驚きですね。


追記:
家畜ふん主体の堆肥作りではアンモニアの流出がひどく。汚染につながるだけ…直して行かないと。。。

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