2011年12月25日日曜日

より大きな視点で育てるものを見て


ジョエル・サルトン(Joel Salatin)
Polyface farm(ポリフェイス・ファーム)のジョエル・サルトンは自らを「牧草農家」と呼んでいる。
彼は家畜を6種類(牛、豚、肉用の鶏、採卵用の鶏、七面鳥、うさぎ)を育てているが、もし彼が家畜農家であれば家畜は商品で最大限に利益をあげるためにというアプローチで狭い面積に閉じ込めてということをしていたかもしれない。

しかし彼は「牧草農家」、家畜たちはその牧草地をより肥沃に良い状態を保つためのパートナーで
あり、その牧草地は家畜たちをより健康な状態で育てるために必須という関係を築いている。



より大きな視点で見れば、家畜を「健康に」育てるためには牧草の質が大切になります。
人間視点で見れば、売れるものは家畜だけ。
現代の家畜の育て方は「大きく、太く、早く、安く」それで家畜をできる限りのお金に変える形が基本。でもそれでは土の劣化や家畜の病気などさまざまな問題を引き起こします。

何農家であるか。何をしているのか。と聞かれて答えに野菜や米農家というのはあってもより大きなビジョンで見た形としてどういうものがあるのかということを考えさせられます。 良い土が出来れば土農家(良い土さえ準備できれば作物はなんであってもだいたい育つから)というのもありなのかもしれないと思います。

農は、私たち人間への食べものの供給を行なっているだけでなく、土に生きる生物やそこから派生する食物連鎖のための根本的な食料の供給を行なっています。スタートは太陽の光⇨植物の光合成でバクテリアや菌などの食料ができというところから始まります。

下の図はソイルフードウェブ(土の食物連鎖)と言われているかなりシンプルにその流れを表したものです。 最初に日光から始まって光合成する~という流れで食べものが網状(ウェブ)に広がっていきます。本当はもっと複雑なのですがものすごく完結に表してあって分かりやすい図です。



通常の慣行農業ではほとんど考えられないことですが、土を良くすることも、人間への食料を育てることも両方、食べものを育てていることになります。

慣行の形はその点でも人間だけになってしまっているのでずれている部分が出ているんでしょう。

土の生きものに食料だけでなく、私達が必要なのと同じように空気や水も必要になります。それらを管理すること(乾きすぎず、湿りすぎず、通気も良く)すること。要するに土にも快適な環境を築くことが作物を育てる前に必要になります。


人間でも動物でも微生物でも生きていく上でこの3つは必須


そういった意味でみんなが土を食べさせると言うことは必要=土農家であるのかもしれません。




彼(ジョエル・サルトン)の特徴的な点は牧草農家という点以外にも色々とありまして、家畜の6種類複合型の農場の形成(相乗効果が出せるような飼い方)や農場での大規模な機械で用途が限られたものの導入を次の世代への負債と考えてできる限り家畜の生まれ持った力を使っての飼い方(豚をコンポストの切り返しに使ったりだとか)という形でエネルギーを使わない。という点。リレーションシップマーケティングと言う相互関係を築きながらの販売の仕方、子供たちへどういうものを残していくかということや農場での子育てのようなこと、または利益についての考え方など多岐に渡ってかなり面白い考え方で行なっています。

またそれ以外にも彼は独自の視点での新しい名前をつけることもかなりやっていて、
フリーレンジチキン(放し飼いのチキン)やオーガニックビーフなどが工業的なものとなりつつあるからというのもあってパスチャーチキン(牧草チキン)やサラダバービーフ(牛から見れば毎日違う新しい牧草地に行けることは大好きなアイスクリームがいっぱいあるところに連れていってもらった子供のようなものだそうです)
など変わった名前をつけて独自の手法をアピールするのにも長けています。




彼のことはフード・インクという映画、もしくはマイケル・ポーラン著の雑食動物のジレンマという本で取り上げられているので興味がある方は一度ご覧ください 。それ以外にもJoel SalatinかPolyface farmでYoutubeなどで調べたら色々と出てくると思います。




サステイナブル(持続可能)な農業をやっている、その人の子供たちがその農場を継ぎたくないと言ったら、それはサステイナブルとは言えない。だから子供たちが興味を持って楽しんで農場で暮らしていけるような環境を築くのもサステイナブルな農業を行う私達がすべきことだ。
ジョエル・サルトン

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